タイラット紙(2010年10月27日号)
2010年10月25日、ウボンラチャタニ県公共危機管理対策室において、ウボン県知事のスラポン・サーイパン氏が議長となり、今回の大雨による洪水被害の対策会議が開かれた。
現在、ムーン川の両岸に住むウボン郡の15集落406世帯と、ワーリンチャムラープ郡の10集落437世帯が被害を受けている。
臨時の避難所がフアイムアン公園、フアイワンノーン公園、シーナクリン橋のたもとやワーリンチャムラープ郡土地役場に設けられ、住民は避難すると共に家財道具を運び込んだ。
ウボン市内に架かる自由民主橋の真下の水位は岸上36センチメートルに達しており、依然として上昇を続けている。
スラポン県知事によると、ムーン川の上流から流れる水は現在シーサケート県にまで達しており、26日にもウボン県に到達すると予測されている。
そこで県の全関係部署に対し、洪水に関する最新の情報を入手してポンプを使った排水作業を実施するよう命じたと述べた。
排出された水は貯水池に放出され、雨の降らない乾期に使用することを計画している。
(コムチャットルック紙2010年10月25日号)
国王動く2010年10月26日、ローヨン・ジットラドーン文部省水源/農業情報局長は、王室管理事務所を通じて国王陛下からのご指示があったことを明らかにした。
それによると国王陛下は、バンコクより被害が大きいウボンラチャタニ県の洪水被害に対処するため、王室が援助するラーチャプラチャーヌクロ財団に対応策を速やかに講じるよう御下命。王室管理事務所の副侍従長に指示された。
スラポン県知事は、ウボン県民を代表してご心配して下さった国王陛下のご慈悲を感じたと述べた。
大量に降った雨水は、メコン川支流を通じて11月初旬にウボン県および近隣県に到達し、水量はコラート県やバンコクより上昇することが予想されている。
ウボン県当局は26日、ヘリコプターを飛ばして水位や被害の状況を視察した。それによると、ムーン川の水が両岸の集落と農地にまで覆っていることが判明し、急いで住民を避難所へ誘導した。
加えて、ムーン川およびチー川流域の各郡(ウボン郡、ワーリンチャムラープ郡、クアンナイ郡、ピブン郡、シリントン郡、)の郡長に対し、地域住民を速やかに安全な場所に避難させるよう促した。
(タイラット紙2010年10月27日号)
水位は安定するも予断を許さず2010年10月27日、ニラン・ナークタップティム水道局第7灌漑事務所長は、ウボンにおける水位の状況は安定していると述べた。
これはムーン川の支流から流れ来る水量が減り始めていることによるものであるが、県側は防水と避難対策を怠らないよう努めている。
いずれにせよ、ムーン川およびチー川の水量は上流から来る水によって増加傾向にあり、今後も雨が降り続いて水量が増すことが予測されている。
(ウボン県庁広報課2010年10月27日発表)
Red Democracy Channel (2010年10月24日放送)(以上、現地の報道を管理人が抄訳して引用)
(管理人のコメント)
タイの洪水が大変なことになっています。特にウボン県の被害が深刻で、現在は小康状態にあるものの、11月に更なる大雨や川の増水が予想されています。
ムーン川もチー川も大メコン川の支流です。支流といっても、対岸に立つ人の顔が遠すぎて識別できないほどの川幅です。この二つの川がウボン県で合流し、タイとラオスを隔てるメコン川に合流します。
つまり二つの方向から大量の川水がウボンにやって来るという訳です。自由民主橋とは、ウボン駅から市内に入る時に通過するあの橋です。増水量が床上ではなく、岸上(สูงกว่าตลิ่ง)36センチというから恐ろしい。
別の報道によると、線路も水没してバンコク-ウボン間の列車も不通になっています。
タイの都市は大雨に対して脆弱すぎる。洪水治水対策がお粗末と言わざるを得ない。これぞ公共工事による政府の出番なのだが、政治家や官僚による権力争いや怠慢によって対策は遅々として進まない。
被害に遭った住民は、さぞかし頭を抱えて悩んでいるのだろうか。いやいやウボン人のことだ。きっと雨宿りしながら酒盛りでもしているのではないだろうか。
上記のTVニュースは赤シャツ系メディアだが、終わりの方で避難している子供達がはしゃぎながら笑っているシーンがある。
人間には悲観的な人と楽観的な人がいる。取るに足らないことで悩んだり自殺したりする人がいる一方で、「あんた、それヤバイんじゃないの?」と言いたくなるほどハタから見て危機的状況であるにもかかわらず、全く平気の平ちゃんで笑っている人もいる。
日本人には前者が多く、タイ人には後者が多いように感じる。願わくば、私は後者でありたいと思っている。今回の洪水被害も、ウボン人なら笑って乗り切ることだろう。
私も彼らのように、強くたくましく笑って生きていきたいと思っている。

