タイのクーデターとタクシン前首相
2006/10/13(Fri)
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昨日のNHKクローズアップ現代で、タイのクーデターを特集していた。一橋大学の浅見靖仁教授と国谷裕子キャスターが終始一貫して主張していたクーデターの構図は、「都市中間層」VS「地方農民」の対立というものだった。しかしこれは違うと思う。真の構図は「タクシン首相」VS「反タクシン合従連衡」というものである。その反タクシン勢力が国王擁立に成功したことがクーデターの要因であると分析する。

確かにタクシンが都市中間層を中心に国民から支持を失った理由は沢山ある。①首相という地位を悪用しての不正蓄財と税金逃れ、②国王を意に介さない発言や姿勢、③酒、煙草、飲食店、メディア等の常軌を逸した規制の強化、④麻薬撲滅、テロ掃討を口実にした大量虐殺、⑤彼の華僑色の強さに対する反発などが挙げられる。

こうしたタクシンに対して、都市部だけでなく地方の農民の支持も彼は失っている。番組での説明とは裏腹に、地方は親タクシンの一枚岩ではないのである。ウボンラチャタニで聞いた話にこんなものがある。タクシンの功績として、一村一品運動(OTOP)がある。これは大分県が発祥の地で、タクシンが積極的にタイの地方に導入して推進し、地方農村の産業振興に役立てたというのが内外での“定説”になっている。

しかし現地で聞くところによると、OTOP(オトップと発音)で利益を上げているのは中規模以上の農家や商工業者であり、零細農工業者は恩恵に服していないというのである。またOTOPは生産には熱心に力を入れて推進するものの、マーケティングや流通、販売にはそれほど成功を収めていないそうである。従って在庫が増えて、思ったほどに収益を上げていないそうである。またタイ農協銀行(BAAC)の規制緩和などで零細農家が融資を受けやすくなったのは事実だが、同時に借金苦も深刻な問題になっているようである。

日本が支援していることもあり、タイの一村一品運動は「いい話」しか聞いたことがなかったので、現地でこうした話を聞いて驚いたものである。従って地方農村は決して親タクシンで固まっておらず、都市中間層VS地方農村という構図は誤りなのである。デモに参加している人々を見ると、都市部のホワイトカラーとは到底思えない人々が多く混ざっている。

こうした動きに対し、タクシンと対立し期を見るに敏な軍部が行動を起こしたのではないか。反タクシンの数万のデモ隊は、シンボルカラーの黄色一色。黄色は国王を表わす。そのTシャツには「ラオラックナイルワン(我等は国王を愛す)」というスローガンが掲げられている。クーデターを起こした軍の兵士も、軍服やM16自動小銃に黄色のリボンを結びつけて、国王を擁していることを暗示している。つまり反タクシンの合従連衡勢力に軍部が便乗し、国王を擁したことが無血クーデター成功の理由ではないだろうか。

NHKのクローズアップ現代は、ソンティ司令官のインタビューに成功するなど評価できるが、その分析には疑問を感じる。浅見教授もメディアを通じてしかタイの情報を得ていないのではないか。今回はにわかタイ評論家のようになってしまったが、このネタは面白いので今後も見守っていきたい。

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